
眠り姫は王子様のキスで無事に目覚める事が出来ました、めでたしめでたし。
・・・なんて都合よく終われば世界は平和なままで良かったんですけどね。
残念ながら今更『凪あす』にそんな生温い展開なんて望むべくも無く、
いや最終的にまなかも何らかの要因で目覚める事は目覚めるんでしょうけれどね、
目覚めたら目覚めたで良くない事が連動して引き起こされそうな予感がして微妙な気分。
良くも悪くも視聴者の心を掻き乱してくれる本作もついに20話目を迎えました。
最終話までのカウントダウンがもうそろそろ始まる今は終盤戦への大事な繋ぎの時期。
光への恋心を再確認してしまったちさきは、
美海の気持ちも知った上で、そして光のまなかへの気持ちを知った上で、
果たしてどういう行動を取るのでしょうか。
そしてそんなちさきを巡って争う2人の雄の争い。
割って入れるのかどうかすら分からないドリランダーの片割れのツインテ娘。
まだまだ荒れ模様が続きそうなこの節目の回、不安5割期待5割のイーブンです。
それでは宜しければ続きからご覧ください。






帰還から一週間。
一向に目覚める様子の無いまなかに、口には出さずとも不安を抱えだす頃合いです。
彼女の覚醒を一番強く待ち望んでいる筈の光はいつも通りの明るい態度で、
それを見守るしか出来ない美海の方が表情曇りっぱなし。
でも愁いを帯びた美少女の表情には素敵な魅力があるのでコレはコレで良し。






授業が終わり、さつさと下校する光達とは対照的に、せっせと板書を続ける美海。
同じ内容のノートを複数作っているのは、まなかの為でしょうか。
図まで描いて結構な労力でしょうし、その気遣いは大変素晴らしいのですが、
この街にはコピー機という文明の利器は存在しないのか、それとも手作り感に拘りがあるのか。
何にせよ、さゆに手伝って貰う事も無く独力で行っている所に意地を感じます。




まなかを目覚めさせる手がかりを得る為、“うろこ様捕獲作戦”を健気に遂行する少年達。
陸に上がってクシャミをしているという事は、それなりに寒中水泳が堪えたという事か。
これまで氷の海の中を平気な顔して泳いでいたから寒さとか感じないのかと思ってました。
胞衣が身体を優しく包んで、呼吸以外にも断熱作用とかとういうのがあるのかと。






それは兎も角、前回の勢いそのままにちさきの魅力を前面に押し出したこの流れ。
男子中学生組にもようやく大人の女性の素晴らしさが理解出来始めている模様です。
伊達に大きく膨らんだわけじゃなくってよ。
見惚れていた事が気恥ずかしくて、光はおろか要までも照れ隠しの様に急速潜航。
思春期男子の心の機微に理解が及ばず、不思議そうに小首をかしげるちさきは罪な女です。




神様の悪戯で折角同い年になれたのに、
未だに汐鹿生組との心の距離が縮まらない事に寂しさを覚えるドリランダーズ。
そんな中でも、自分達にも何か出来る事がある筈だと、
まなかを目覚めさせる方策をあれやこれやと検討議論する姿は微笑ましい限りです。
彼女達には是非とも幸せになって欲しいのですが、うーん。






こちらは本日の捜索活動を終えて黄昏れる青少年達+引率のお姉さんの図。
影も形も見えないうろこ様捕獲作戦に早くも暗雲立ち込めていますが、
毎日恒例の町内放送ソングを聴きながら突然閃いた光の秘策。
ついさっきドリランダーズも“歌を聴かせる”という案を上程していましたし、
まぁどうも今回の物語の方向性はそちらで決まりそうですね。
皆で“おふねひき”のあのバリトンボイスソングを、というかバスかな、
あの歌を皆で合唱したりするとか、きっとそんなんで。






おしおっしー・うみうしくん・波渡丸の三択。
うみうしくんに至ってはゆるキャラ的な外見すら保っていない、ただのウミウシですけど。
光が先程閃いちゃった名案というのはやはりまなかの聴覚に訴える系。
至さんの協力も得られて、ようやく頑張る方向性が固まり意気上がる一同とは対照的に、
何やら荷物を纏めて、ちさきにすら何も言わずに教授と2人きりで出ていく紡の姿。
前回折角、ちさきを巡って要との間に明確な対立構造が完成したというのに、
ここで暫く出番が無くなるとなると淋しい限りなんですが、はて。





自分達にも出来る事を、と下校中にさゆと再確認して己を奮い立たせたばかりなのに、
至⇒あかり⇒美海というラインで光達が自分達と同じアイディアを考え付いた事を知り、
更には自分達がその計画の中に入れて貰えていない事に気付き、
再び悲しそうに目を伏せる美少女が1人。
何処まで行っても、どれだけ頑張っても遠い遠い、想い人への距離。
寧ろ届かなければ届かない程、より強く渇望してしまうのが恋心の悩ましいところ。






そんな不安を振り払う様に、帰宅した光との会話を頑張る美海。
「色々とやる事が多過ぎて時間が足りないから学校休む」と言い出す光を、
必死に思い止まらせようとするのは合法的に一緒にいられる時間を減らしたくないからか。
その必死が裏目に出て、ついうっかり“目覚めない”可能性を口走って、
さっきまでの和やかな雰囲気は何処へやら、光は静かに激怒し部屋に引き篭もり。
基本的に光の事は好きですけどね、美海に暗い顔させるのは許さんぞえ。




「私を助けなければ良かったのに」と不貞寝した光の枕元で囁くホラーなまなか。
下手な怪談話よりも余程怖いわ、この光景とまなかの表情、声のトーン。
これは光の心中に抱える不安が悪夢を導いたのか、それとも本当にまなかの幽体離脱か、
もしくは海神様かうろこ様が何かのメッセージを伝えようとして姿を借りているのか。
何にせよ、まなかを海神様から取り戻した事が不吉を呼び込むのは間違いなさげ。




光に怒られてもめげずに、まなか覚醒の手段を探して図書館で資料を漁るドリランダーズ。
催眠効果の方面から攻める美海とは違い、さゆが着目したのは皆大好き“白雪姫”。
昔から“眠り姫を目覚めさせるのは王子様のキス”と相場が決まっていますからね。
“キス”というワードに過剰に反応する美海は大変可愛いですが、
提案者のさゆは意外な程に真面目な様子で“強い想いは変革を起こす”と主張します。



それでもキス案を却下し続ける美海に、さゆが重い一言をズドン。
「まなかさんに目覚めて欲しくないみたい」とね、これは効きます。
「要が紡がいなくなればちさきと一緒にいられた」と吐露した様に、
自分の中に「まなかが目覚めなければ光と一緒に」という醜い感情がある事を自覚しちゃったか。
後半戦はホント、美海が主人公といっても良いくらいに苦難が押し寄せてますが、ここでもまた。






録音した“おふねひき”ソングを耳元で流すも効果なく項垂れる光。
そこへ特攻少年ボーイ・晃が危険を顧みない体当たりを敢行してきて、
何やら揉みあう中でラジカセの録音ボタンが入っちゃいました。
これは一体何フラグなのか、それはさておき髪を下している美海の可愛さよ。










これから寝るので当然ですが、髪を下したまま薄暗い廊下を歩いていると、
後ろ姿をまなかと勘違いした光が寄ってきて、
美海だと気付くもそのまま倒れ込む様に圧し掛かって来てハァハァする始末。
折角の美海のピンクなイベントが勃発かと期待したのに肝心なところで使えない男です。
そのまま疲労過多の体調不良と言う事で大事を取って明日の学校を休ませる事に。
それはさておきツインおさげの美海の可愛さよ。
翌朝、バレバレの仮病を使ってまでも光の傍にいようとする根性は恋する乙女の若さ故。






美海と光が学校を休んだせいで、結果的にさゆと要のツーショット会話が実現。
光と共に冷たい海に潜りまくりの要の体調を気遣うさゆが超可愛い。
そして美海の代わりにと、自分・美海・まなかのノートを取ってあげる優しいさゆ。
当然の様に光の分が忘れられていますけど、
そこは要に任せるのか、それとも同じ家に住んでいるんだから美海から写させて貰え系か。
親友の恋路を応援する意味でも後者の理由が適当かな、この場合。
その心意気に感銘を受けたのか、要も手伝いを申し出てささやかな共同作業、さゆプチ歓喜。






美海の心境を良く分かった上で、敢えて晃を連れて買い物に出かけるあかり姉さんの気配り。
もしかして美海が光の事を好きだって、あかり姉さんも分かっているのでしょうか。
それでこの神対応なのだとしたら母親力半端ねぇッス。
状況を整えて貰った美海は家に2人きりになった途端、精力的に活動を開始。
まずは当然ながら、光の看病を一通り済ませてあげます。
流石に服を脱がせたり身体を拭いたりは無かったですけど。








続いてまなかの面倒も見に来て、ラジカセの存在に気付いた美海は、
神の手に導かれるままに再生ボタンをポチッとな。
例のフラグの繋がる先に期待をして聴いていましたが、
結局は普通に光の「絶対にまなかを目覚めさせる」という決意の宣言が録音されてただけで、
面白おかしく場を掻き乱す要因は特に入ってはいませんでした、残念。
ま、美海はそれでも色々と思うところがあったみたいですけれども。




今回は序盤以外美海尽くしの回、というわけでまだまだ出番は尽きません。
今度は紡からの電話で小難しい話を聞かされ中、
ずっと思い悩んでいた「自分はまなかに目覚めて欲しくないのか」という疑問に対して、
どう感情を整理すればいいのか分からないまま限界を超えて涙が溢れて。
すかさず紡が研究の話から美海を気遣うモードにシフトチェンジしたのは流石の一言。
というわけで後半戦、何気に絡みの多い2人のデートが成立です。




美海の篤い看護の甲斐あって光は無事に覚醒。
ついでにさゆと要から本日分のノートも届けられて万事問題無しですね。
ていうかさゆが言ってた“3冊”って“自分・美海・まなか”だとばかり思っていたら、
“光・美海・まなか”の3冊だったんですね、自分の分以外の。
いやぁ、ナチュラルに光を無視して酷い扱いだと思ってしまってゴメンナサイ。






幻想的な風景を前に、語らう青年と幼女。
本来無い筈の胞衣が発現した美海、そして本来ある筈の胞衣を失ったまなか。
全てが上手くいかず、大切な人を傷付けて、そして自分の醜い心を突きつけられて。
それらの想いや葛藤を断片的にでも紡に語る、語れるこの流れはどう捉えればいいのやら。





美海の告白を受けて、紡もまた、自分にも同じ様な想いがあった事を語り始めます。
「あのまま光と要が戻らなければ、ちさきとの仲を邪魔する者はいない」と、そう考えていたと。
それでもやっぱり光達が生還した時は素直に嬉しかったとも告げる紡に、
美海は自分もまなかが目覚めた時に、同じ様に思える様になりたいと切に願うのでした。
相も変わらず紡は、言葉は少ない癖に精神的迷子のメンタルケア性能が抜群です。










「こいつ、起きるよな?」
「・・・うん、起きるよ、きっと」
「・・・・・・だよな」
これもまた『凪あす』の良いところですね。
大体に於いて仲違いやすれ違いが発生しても、その回の内に仲直りや元鞘まで見せてくれるのが。
僅かであってもこうやって心の距離が着実に縮まって、美海にとってもめでたしめでたし。
その後、さゆイチオシの覚醒方法を巡ってラブコメ展開がありましたけど、紙面の都合で割愛。
十分可愛かったですけどね、
でもネタ内容を考えるともう少し演出というかコンテというか頑張って欲しかった思いもありや。
あ、まなかは無事に目覚めましたよ、特に誰も何もしてないですけど。

次回「水底よりの使い」に続きます。
まなかがあっさりと目覚めてしまって、これまでのモヤモヤが嘘だったかの様。
しかしこれで、只でさえ激動中の恋愛戦線が更に混迷を深めるのは必至か。
そうでなくてもサブタイトルに嫌な予感しか感じないだけに、
次週の展開が気になって眠れない一週間を過ごす事になりそうです。
ありがとうございました、次回も宜しくお願い致します。
失礼します<(_ _)>