
光、まなか、紡の恋の大三角形。
そこにちさきと要が絡んできて、一体どのような花火が上がっては消えていくのやら。
特に要はまだ表立って本心を晒していないので、
どういう風に立ち位置を調整していくのか、
あくまでも最後までちさきのキューピッド的な役割を勝手に演じるのか、
それとも何処かで逃げ道を失って開き直るのか。
それでは宜しければ続きからご覧ください。






今朝もまなかの膝の御頭様は絶好調。
コレってこんなに長引くものなんですね、軟膏塗ったらすぐに消えるのかと。
でもどういう条件だったのか、突然「またね!」と人語を喋り、
幽体離脱でもする様にスルリと抜けていきました。
うーむ、何から何まで謎。







恥ずかしい想いをさせられた呪いの元凶である、うろこ様へのお礼参り的な襲撃。
・・・ではなく、紡との間を取り持ってくれた例の膝の御頭様をもう一度発症させる為、
敢えて神に喧嘩を売り、食べ物を粗末にするという二重の罪に手を染める乙女心。
もう光とか関係無しに完全に紡に心が傾いてるじゃないですか―。
にしてもまなかの叫び声って可愛いなぁ。






「あ、あの! 昨日はありがとうございました!」
「・・・体調は?」
「はい、すこぶる元気です!」
「・・・彼は?」
人見知りっぽいまなかが教室と言う衆目の前で、
紡に自分から話しかけるという時点で既に大事件に思える今日この頃。
光は光で良い男なのは間違いないんですが、紡のイケメンっぷりには敵わないッスなー。
最初“彼”って光の事かと思って緊張しましたが、視線を追うとどうも膝の御頭様の事らしく。
どこまでいってもブレない男です。



「昨日ハマナカガ世話ニナリマシタ」
「ひーくん!?」
「・・・今の内に言っとく、地上のヤツらが海の村に関わるな」
学校なので“その他大勢”のギャラリーの中には当然光達も含まれてますよ。
流石に我慢の限界を超えたのかいつもの様に間に割って入って来て、
感情の全く籠っていない声色で一応お礼を言う、光にしては精一杯の自制心。
・・・とか感心していたのに直後に一転、まなかの目の前で露骨に釘を刺すという悪手を打って、
さてここからどう転がるのやら。






当然まなかからは非難の声が上がりますが、彼女がそう言えば言う程、
紡を庇っている様に感じられてますます態度を硬化させる思春期男子。
挙句の果てにはこの間からずっと引っかかっていた“紡くん”という呼称が駄目押しとなり、
ついつい言い過ぎてしまった事で折角仲直りしたまなかとの仲も再び暗雲。
頑張れワカゾー。




「ま、間違ったー!」
「・・・間違った?」
「紡くんは私の事助けてくれた!
だけど、ひーくんだって私の事一杯心配してくれたのに!
・・・責めたりしちゃった、間違っちゃったよー!」
「ん・・・光、ホントにまなかを心配してたよ?」
「ちーちゃん・・・」
「ホントに、胞衣が乾いて苦しくっても、一生懸命に・・・」
まなかは本当に良い子だなぁ。
こういうのを見ているからちさきも光とまなかの間に敢えて割って入ろうだなんて、
そんな事をこれまでは思ってもこなかつたんでしょうが。
紡の登場でこれまで安定していた関係性が崩れて、ちさきにもワンチャン巡ってくるのかどうか。





「ちーちゃんはどうしてわかるの? ひーくんの気持ちも私の気持ちも」
「そんなの、小っちゃい頃からずっと見て来たもん。
まなかの事も・・・光の事も」
まなかが完全に紡に傾いて、光が完全に失恋するまでちさきが想いを吐露する事はないのかなぁ。
寧ろこのままだと光とまなかの恋物語がどう転がっても、
ちさきは想いを打ち明ける事無く胸に秘めたまま終えそうな気すらしますけど。
それを動かすとしたら、やはり要なんですかねぇ。






「おぅ、止まれやデコ助!」
「・・・お前ら、この間の」
「あの女と知り合い?」
「あの女? あぁ・・・」
「知り合い?」
「姉ちゃんだけど?」
「嘘こけタコ助!」
「た、タコ・・・?」
「コイツ、あの女呼び捨てにしてたもん、男と女の関係だよ」
“さん”をつけろよデコ助野郎。
右の黒髪のおかっぱ少女は将来凄い美人になるでー。
というわけであかりを目の仇にしているらしい女子小学生コンビの襲来。
学校の時間だというのにこんなところで男を待ち伏せるなんて、不良幼女ですなぁ。
悪いお兄さん達にお仕置きされても文句は言えないレベル。










うむ、妙なところで意図せぬ恋愛フラグが要に始まりそうな予感。
さゆは結局要のイケメンオーラに恐れをなして退散し、
美海はさり気に堂々と無表情のまま、光のアキレス腱にダメージを与えて同じく逃走。
嵐の様にやってきて嵐の様に去っていった目的不明の幼女達を、
光と要はただ茫然と見送る事しか出来ません。






その日の担任の授業後に先生から一言。
今年は開催されないと聞く“おふねひき”をこの学校で執り行う事を提案し、
“おふねひき”で使用する生贄代わりの木彫りの人形製作に協力する有志を募ると、
一番乗りで挙手したのは海村に興味を持ち始めているらしい紡。
それにまなかが続き、次いで仕方なく光も参戦、それを受けてちさきと鼎も示し合わせて賛意を表し、
遂にOPで仲睦まじいクインテットが公的に完成いたしました。



「・・・どうして“おじょしさま”作りやろうって?」
「ウチは漁師だから、海のお陰で生きているから。
ちゃんとお礼の為に“おふねひき”しないと」
というわけで早速材料となる材木や枝木の準備から。
ぶつくさ文句を言いながらも割と慣れた手つきでノコギリ職人と化す光、
同様に鉈で余計な枝木を伐り落として丸太を整えていく紡、
そして枝を集めるまなか、ちさき、要と役割分担もばっちりに精力的に働きます。
半袖で枝を抱えるのとかチクチクしそうですけど、気にしなーい。




「うろこ様って本当にいるらしいね」
「ぇ・・・うん」
「ちょっとエッチなおじさんだけど」
「“おじさん”と“お兄さん”の中間くらいだよ」
「・・・そうか、本当にいるんだ」
散々な言われ様ですね、ちさきからもそういう評価という事は、
まなかにした様なセクハラ行為をちさきにも敢行した過去があるのでしょうか、許しがたい。
うろこ様の話を契機に次から次へと質問を繰り出す紡は本当に海村に興味津々。
彼のこの積極性が陸と海を繋ぐ架け橋へと繋がっていくのでしょうか。
ますます主人公である光の立場が無いなぁ。







「俺は海の村、良いと思ってる」
「村の事、こんなに思ってくれる地上の人がいてくれて、嬉しいね」
「ん・・・何がだよ」
紡、完全に物語の主役だなぁ、スポットライト当たりまくり。
光も心の中で紡を認めざろうえないのか、
まなかの視線を独占されていても怒りよりも諦念が襲っていて。
更にそんな光の様子を事ある毎に窺うちさきが本当に可愛くて堪りません。
あぁ、切ない。









どうしても紡の事を敵として憎み切れない、
でもだからといって素直に受け入れる事も出来ないという葛藤に苛まされる光。
そこへ今度はあかり姉さんの情事の様子が視界に飛び込んできて更に心中大嵐。
まぁやはりあの幼女達があかりに嫌がらせしていたのはこういう理由ですか。
それにしてもいいキスシーン。






「彼氏・・・なのかな?」
「アイツ・・・男いるなんて一言も言ってなかった癖に・・・!
しかも地上の男だぁ!?」
「あかりさんそろそろ適齢期だからね、村から出ていくつもりなのかな?」
「あぁ!? 地上の男となんて上手くいかねーよ!
結婚したってどうせ出戻って来るだろ・・・」
「え?」
「・・・それは無理でしょ」
「無理? 何でだよ?」
「無理だよ!
だってあかりさん、良いお母さんになりそうだもん、出戻ったりしないよ」
「そうじゃなくて、地上の人間と結ばれたら、村から追放されちゃうんだ」
何処の馬の骨とも知らない地上の男に姉を取られる事への抵抗と、
今まさに自分の想い人が地上の男に奪われようとしている事への抵抗が相まって、
ついつい子供っぽい台詞を吐き捨ててしまう光に、
言葉そのままに受け止めてマジレスを返す周囲一同。
そこで初めて聞かされた海村の掟に光もまなかも衝撃を受けます。










「いじわるだ!」
「・・・まなか」
「大切な人と一緒になりたいのって全然悪い事じゃないのに、
素敵な事なのに、それなのに海から追い出しちゃうなんて・・・!」
「・・・それって自分も地上の男とくっつきたいって考えてるのか?」
「・・・ッ!? やだ! エッチな事言うひーくんは嫌いだよ!」
「俺だってエッチな事言うまなかは嫌いだっての!」
「あたし、言ってないよ!?」
「言ってる! 何か最近、気持ち悪いんだよお前!」
「ぁ・・・」
先程のあかり姉さんの満ち足りた、幸せそうな表情と、
“追放”という穏やかならざる言葉の間に耐えきれない程の理不尽を感じて叫ぶまなか。
止せば良いのにそこでついつい藪蛇を突いて、売り言葉に買い言葉で収拾がつかなくなって、
気が付けば大好きな子を傷付けて、後を追う事も出来なくて。
気持ちは分かるけれども明らかに踏み越えてはいけないライン越えちゃいました。
想いが空回るー。






「気持ちは分かるけど、あれじゃ、まなか可哀想だよ!」
「分かるって何だよ・・・」
「・・・え?」
「何だよお前、いっつも大人ぶってさ、何でも知った風で。
お前に俺の何が分かるんだよ!?」
「・・・ッ」
「・・・今のは駄目だね、八つ当たり。
まなかについてはイラッと来るのは分かるけどさ。じゃね」
フォローに回ったちさきにまで飛び火して、完全なとばっちり状態。
まなかにキツく当たるのもどうかと思いますが、ちさきにキツく当たるのは論外。
もっとシンプルに事が運べば色々と楽なんでしょうけどね。
残念ながら人間関係、特に恋愛関係なんてすんなりいくわけがありません。
それにしても要の常に一歩退いたオブザーバーな態度が半端無い。







やはりこれが世界の選択か。
傷心のちさきの下にやってきたのは遂に動き出したらしい要少年。
夜の公園のブランコとはまた絶好のシチュエーションが用意されて、
弱気な言葉を連ねるちさきに単純に同調するわけでも無く、
さりとて誰かを責めるわけでも無く、まなかが踏み出した一歩を否定するわけでも無く。
優しいけど甘くない的な、そんなポジショニング。
・・・お前は本当に中学生か。








トンテンカンテントテテンカンテン。
“おじょしさま”作りを引き続き頑張るクインテットですが、
そこには昨日の様な楽しい雰囲気や会話は一切なく、
特に女子組と光の間に前日の諍いを引きずったままのピリピリした空気が。
悪いのは光側だと思うんですが、寧ろまなかの方が光に申し訳なさそうに気を遣って。
少年少女の悩みは深い。









傍から見ればまなかが紡に惹かれているのは明々白々。
そんな様子に「まなかが紡とくっtけば光は自分を振り向くかも」という邪念が強まり、
自己嫌悪を重ねるちさきに珍しく単体で絡んできた紡との会話。
担任とも話し合って海村出身の自分達の為に水場を作ろうとしている紡の行動を知り、
その好意に感謝しながらもこれ以上まなかに優しくしないでと胸中で訴えるちさき。
「まなかには光がいるんだから」と思い続けなければいけない彼女の恋心。
紡の存在がそれを変えてしまうのはそう遠い話でもないというか、
既に綻びは見え始めているわけですが、イケメンを止める事なんて出来ませんからね。






「フ・・・お前は今まで、いっつも誰かに守られてきた。
光やちさきや要や、お前はその後ろを、
チョンチョロチョンチョロ付いていればよかったじゃろ?
それが、皆に守られない所に行こうとしている。
自分を守る為にはな、多少の嘘の必要になってくる」
会う度に例の“魚面そ”の調子を訊ねてくる紡にこれ以上嘘をつきたくないと、
再三うろこ様に再度呪いをかけて貰うようお願いしに来ている健気なまなか。
正直素直に本当の事を話せばいいじゃないと思うのは第3者の考え。
本人としては想い人との繋がり、共通の話題を失うのが怖くて必死なんでしょう。
うろこ様はそういう事情が分かっているのか分かっていないのか、
でもとりあえず見守る海村の子の成長を喜び背中を押している様には感じますが、さて。









うろこ様の説諭に戸惑うまなかが落ち着く間もなく、
社の外から聞こえてきた喧騒に顔を覗かせると、
村の若い衆に引っ立てられてきたあかり姉さんの姿がそこに。
バレるのは時間の問題だったとはいえ、こんなに早いタイミングでとなると、
いや、光達が目撃したのが昨日なだけで、前から噂はあったのかなぁ。
とりあえず地上の男との交際がバレて殺気立つ中、
遅れてやってきた先島パパがあかりを引き取る事で強引に場を収めましたが・・・。
そのままうろこ様の社へ歩いていく父と姉を見送るしか出来ない光。
この問題の行く末がまなかや光達の今後の関係性にも関わってくるだけに、
どういう裁定が下されるのか、やはり掟通り村から追放されるのか、重大事です。

次回「海のいいつたえ」に続きます。
紡と光のサシの会話、そしてちさきとまなかのサシの会話。
あかり姉さんの事件を契機に動き出すそれぞれの想い。
本当に、どうなるんでしょうね、あかり姉さんは。
うろこ様のみぞ知るセカイ。
ありがとうございました、次回も宜しくお願い致します。
失礼します<(_ _)>