
オンラインゲームを題材とした作品ではよくある事ですが、
開始して暫くは状況把握に努めるのが常と言えば常。
ゲームが舞台とはいえ、大概において緊張感と悲壮感、絶望感を出す為に、
雑なプレイが命に関わる様な設定が為されているものですから、それも当然なのですが。
本作の面白いところは、兎に角状況も設定も完全に手探り状態という点でしょう。
しかも少なくとも確認出来ているプレイヤーはモモンガ様ただ一人、
つまり他の作品なら有象無象のプレイヤー達が情報を持ち合う事で、
ルールを把握するまでの時間をかなり短縮する方法が、本作では使えない。
だから不測の事態を招かないよう、しかし極力リスクを避ける様に、
慎重に慎重にプレイする必要が出てくるわけです。
それこそが良いのでしょうね、圧倒的な能力を軍勢を持つモモンガ様が、
その力に驕る事なく慎重に慎重に、そして等身大に悩みながら演じながら、
攻略(といっていいのか)を進める姿は受け入れやすい在り方だと思いますから。
それでは宜しければ続きからご覧ください。









六大神に仕えし六色聖典が1つ、陽光聖典隊長ニグン・グリッド・ルーイン。
やたら長い名前ですが、どうやら現在モモンガ様と一緒にいる、
リ・エスティーゼ王国戦士長ガゼフ・ストロノーフの暗殺を目的にスレイン法国が放った、
正当なる暗殺者という事になるみたいです、暗殺というか謀殺、力殺の使者か。
村長から情報収集している時に、あの騎士団がスレイン法国の差し金だという可能性も、
考慮に入れていたモモンガ様でしたが、まさしく予想の範疇だったとは流石。
別に絞り込んではいなかったですけど、考えられる可能性を列挙出来ているだけでも、
きちんと緊張感をもってこの世界での暮らしに臨んでいるという証です。















村の周囲を囲む、マジックキャスターの集団。
きちんとした身なりといい、そもそもマジックキャスターというクラスの特異さ故に、
敵がスレイン法国であると見抜いた王国最強戦士ガゼフ。
しかし村を襲撃していた事がガゼフを誘き出す為の陽動だったとしても、
わざわざバハルス帝国の装備を纏っていたんですっけ、兎に角偽装していたわけですが、
それは一体何の為だったのでしょう、基本的に虐殺して、生き残りは捕虜にして、
結局は誰も生き証人をその場に残さないわけですから偽装の意味ないのに。
というかここのガゼフとモモンガ様のやり取り、というかガゼフの態度か、
凄いですね、格好いいですね、王国戦士長としての責任感に溢れてますね。
割とここのシーンだけで目に涙がじわりと滲んできました、くそう、良いなぁ本当に。
モモンガ様が助力を断っても全く反感も何も覚えず、
自分達が到着するまで村人を守ってくれていた事を純粋に感謝する騎士の鑑。
胡散臭い贈り物もモモンガ様を信頼して迷わず受け取るしね。
私、ガゼフが死んだらこのアニメ視聴するのやめるかもしれない、そんなレベルの感動。









「はぁ・・・初対面の人間には、虫程度の親しみしかないが、
どうも話してみたりすると、小動物に向ける程度の愛着が湧くな」
敵軍に向かって出撃するガゼフ達を見送っての、モモンガ様の言。
隣にいるアルベドが聴いているのを意識して、凄い凝った表現を用いていますが、
いやはや、モモンガ様、ロールプレイのなりきりとか得意そうですね、
こんな表現がスラスラと出てくるなんて・・・・・・それだけ苦労も多いでしょうが。
ともあれ、NPCであるガゼフに対してそれ相応の好感を持ったらしい事はわかります。
そして戦士長の行動の意味を逐一把握する察しの良さ。
モモンガ様のリアルがどういう人物像なのか知りませんが、かなり頭がキレますね。
案外、ナザリック大墳墓の支配者という立場は天職なのかも知れません。
本人も、ゲーム世界に入り込んだような異常事態に驚きこそ感じているものの、
状況把握に努める事が優先で、どうしても現実世界に帰ろうという事は言いませんし。
あれ、言ってましたっけ、でもそんなに繰り返し主張はしていませんよね。
























モモンガ様の理解通り、敵の注意を全て自分達に向けさせる為の目立つ出陣。
そして肝要なのは敵を殺す事ではなく、誰一人欠ける事なく逃げ延びる事が勝利条件。
そこについても勘違いする事なく、部隊を率いて敵陣に突撃します。
敵が引き連れている魔物は“アークエンジェル・フレイム”とか言ってましたっけ。
王国最強たるガゼフの力を以てすら、簡単にはいかない難敵の様子。
それに加えて敵マジックキャスターの魔法による妨害・支援もあるとあっては苦戦必至。
それでも自分を囮に部下達を逃がせた事を喜ぶガゼフは隊長の鑑ですが、
そんな隊長の下に弱卒が育つわけもなく、空気を読まずに全員隊長の援護でとんぼ返り。
いやはや、人生は思うように行きませんね、モモンガ様は果たしてどう行動するのやら。
部下達には実際、荷が勝ち過ぎている相手みたいですから。















不利な状況を打開すべく、敵指揮官を狙うガゼフ。
敵もそれを阻む為にモンスターを集中させますが、本気になったガゼフの絶技の前に、
案山子の如く一網打尽に葬り去られて候、げに恐ろしきは王国最強か。
しかも技が多様な上に、戦闘シーンにも力が入っていて、見ていて非常に気持ち良いです。
この作品、戦闘シーンというかアクションシーンの演出の仕方はセンスありますよね。
少なくとも個人的には、第一話の“炎の精霊vs双子”の頃からそう感じてました。
が、そんなガゼフの猛威にも慌てる事なく、追加の天使を召喚するニグン側。
マジックキャスターの魔法って何か代償って存在しているんでしょうかね。
こうも簡単に追加召喚とか、そりゃズルいよお兄さん達。






























無尽蔵の敵軍にじりじりと追い込まれ、気が付けば部下は全滅。
押し寄せるモンスターに少しずつ身体を痛めつけられ、満身創痍になりながらも、
返す刀で確実に斬り捨てて最後の意地を見せるガゼフ。
勝利を確信し、この場を終えた後は村人を皆殺しにすると宣言するニグンですが、
その余裕の態度を嘲笑うかのようにガゼフはモモンガ様の存在をチラつかせます。
実際の戦闘の様子を見ていたわけでもないのにこの信頼感。
ガゼフの方も、さっきの短いやり取りでモモンガ様の力を推し量ったのかしら。
とか言っていたら、いきなり脳内に声が鳴り響き、一瞬にして選手交代。
ついでに傷ついた兵士まで、モモンガ様が結界を張る倉庫に移動させる離れ業。
あの気持ち悪い木彫りの像を媒介に行った転移魔法なのかな、
ああいう事を言いながらこんな仕掛けを施していたとは、モモンガ様ったらツンデレ。
絡繰りを知った後、焦らずに笑顔で後事を託して倒れこむガゼフの表情が素敵です。


















「この私が、手間をかけてまで救った村人を殺すと公言していたな。
・・・・・・・これ程不快な事があるものか」
「不快とは大きく出たな、マジックキャスター。で、それがどうした?」
「抵抗することなくその命を差し出せ、そうすれば痛みはない。
だが、拒絶するなら愚劣さの対価として、
絶望と苦痛の中で死に絶える事になるだろう」
クリスマスぼっち用の仮面を付けて格好つけていると思うとシュール過ぎますが、
ともあれ太陽の光をバックに格好いい前口上を述べる我らがモモンガ様。
判断能力、頭の回転もそうなのですが、この素晴らしいロールプレイもまた、
モモンガ様にとって現状の在り方が天職なんじゃないかと思わせる要因の1つ。
普通こんな、厨二病的美辞麗句は出てきませんよ。
パッシブスキル“上位物理無効化”によって敵モンスターの攻撃は全てノーダメージ。
この時点で敵の優位性が半分程崩れ去ってます、つくづく戦闘の要諦を抑えた戦術。
敵の心を如何に折るか、如何に“アインズ・ウール・ゴウン”の名を畏怖と共に知らしめるか。
スキルと知識を総動員してどう圧倒的な力を見せつけるか、本当に分かってらっしゃる。
これまでモモンガ様本体の戦闘能力に対して不安の声もありましたが、
やはり生半可じゃなかったですね、アルベドが庇う素振りさえ見せないのも効いてます。












降伏拒否を受けて反撃に転じると、更にその圧倒感は膨れ上がります。
自身の位置を基準点とする範囲魔法“ネガティブ・バースト”の一撃で天使は壊滅。
そして懸案でもあった敵マジックキャスター達の攻撃魔法も、
これまたパッシブスキルの効果か、モモンガ様には全く効いておりません。
が、その圧倒的な状況下においてモモンガ様が考えていた事は、
敵が使用する召喚魔法や攻撃魔法が“ユグドラシル”のと全く同じ点への疑念。
つまるところ、この魔法を教えた“誰か”は自分以外のプレイヤーではないか、
そういう可能性を考慮しているわけですが、うーん。
私はこの世界自体が“ユグドラシル”ベースのものだと思っていたのですが、
どうやらモモンガ様がこういう疑念を抱く時点で、決定的な思い違いをしていたのかな。
魔法が効かない事でパニックになった1人がスリングショットを構えますが、
これは突然動き出したアルベドの高速打ち返しで、あじゃぱー。


















上位天使“プリンシパリティ・オブザベーション”かな、敵の切り札たる天使をここで投入。
が、その切り札もモモンガ様の小さな炎魔法1つで消し飛ぶという哀れな末路。
大魔王バーン様のメラの件を彷彿とさせますね、この圧倒的戦力差。
動揺が広がる敵軍ですが、切り札が駄目なら奥の手という事で、
冒頭でお偉いさんから下賜された“魔封じの水晶”を用い、
最上級天使“ドミニオン・オーソリティ”を召喚しようとするニグン。
敵の手の内が不明なモモンガ様は念の為にアルベドを盾に様子を伺いますが、
出てきた主天使を目の当たりにして、余りの幼稚さに己が怯懦を恥じる結果に。
たかだかこの程度の戦力でどうにか出来ると思われた事が心外だとばかり。
ていうか第四位の主天使で最上級だとしたら、
それより位階が上の天使はどういう扱いになるんですかね。
人間に扱える天使の中の最上級って事で、そういう呼称になっているのかな。





















天使の聖なる光の柱、ニグン曰く、人間では到達しえない第七位階魔法を以て、
日光浴程度のダメージしか負わないモモンガ様の姿に恐怖する人間一同。
そりゃまぁ、モモンガ様はそもそも人間じゃないですからね、種としての桁が違います。
で、まぁ本人はこの世界で初めて味わう痛みの感覚を喜んでいる風なのですが、
至高の存在に下等生物如きがダメージを与えたというのがアルベドの逆鱗を刺激。
ここから虐殺が始まるのかと思いきや、機嫌の良いモモンガ様はそれを制止、
完全に戦意を失くした敵兵に刻んだ恐怖と、スレイン法国の監視魔法を通じて、
より多くの相手に自身の存在を知らしめる事に成功したからでしょうかね。
























本日も格好良すぎたモモンガ様の雄姿に興奮が止まらないアルベド。
その余りのハイテンションっぷりにモモンガ様も思わず素で「あ、はい」という始末。
対外的には順調に調査を進めていますが、部下の扱いはまだまだ慣れないです。
まぁアルベドだけが特に取扱いに難があるだけとも言うのですが。
取り敢えずナザリック大墳墓に帰還して、皆に独断行動の謝罪と、
そしてこれからは名を“アインズ・ウール・ゴウン”に改める事を宣言。
その場には各階層守護者の他に、何人か気になる姿も垣間見えるのですが。
まだ正式に紹介されていない、残り2人の階層守護者も実はいたりするのかしら。
超巨大なゴーレムっぽいのはいないから第四層のガルガンチュアはいないとして、
第8層でしたっけ、ビクティムあたりはいてもおかしくないのかな。
ついでにモモンガ様が去った後、アルベドの指示でデミウルゴスが先日の、
モモンガ様が戯れに口にした「世界征服をするのも面白い」という言葉を伝達。
それにより、頭首の与り知らぬところで組織の最終目標が定まりました。
今後、モモンガ様と部下の温度差がどういう方向に物語を進めるのか、期待。
ありがとうございました、次回も宜しくお願い致します。
失礼します<(_ _)>